訪問看護で使えるフィジカルアセスメント②~呼吸~

訪問看護で使えるフィジカルアセスメント②~呼吸~

今回は訪問看護でも使えるフィジカルアセスメント、呼吸編です。

フィジカルイグザミネーション別にポイントをお伝えします。

呼吸の問診

もし呼吸が苦しいという訴えがあれば、医師への報告なども踏まえて問診で情報を収集します。

どのように問診をしていけばよいのかポイントをお伝えします。

  • いつから症状が出たか?
  • 経過は?(悪化しているのか、良くなっているのか)
  • どんなふうに苦しいか?(息がきれる・息がしにくいなど)
  • どのくらい?(呼吸の場合も、息切れスケールなどを使うと客観視しやすいかもしれません)
  • なにをすると苦しいか?楽になるか?(起きると楽になるなど)
  • ほかに症状はあるか?

訪問看護

呼吸の視診

まずは、視診ですが、正常な呼吸をしている人はあまり「呼吸しています」というのが分かりません。見た目で努力して呼吸しているというのが分かる場合は要注意です!

呼吸の異常は、急変の予兆(状態が急に変わる前触れのサイン)として非常に重要なことが、数々の論文で報告されています。急変する6~8時間前にはなんらかの前兆がみられるとされており、その中でも呼吸の異常は最も急変を予測した(特に呼吸回数の増加=頻呼吸)との報告があります。

よって、視診で明らかに努力して呼吸していたり、呼吸回数が速い場合は注意が必要です。

呼吸回数は、胸郭の動き(息を吸った時に上がり、吐いたら下がる)でカウントします。正確なカウントはできれば1分間の測定が望ましいです。

その他、視診で重要なものとして、胸郭の動きの左右差があります。これは、痰による気管支の閉塞や胸水貯留によって肺が膨らまない時などにみられます。

正常な肺はであれば胸郭は左右対称に動きます。左右差がある場合は、聴診と組み合わせたり、SpO2を測定して酸素化などをチェックします。

フィジカルアセスメント

呼吸の聴診

最も難しいのが聴診です。よく分からない副雑音が聴かれることもあります。ポイントは聴診だけで答えを出そうとしないことです。疾患や症状、バイタルサインなどを組み合わせてアセスメントしていきます。

例えば、誤嚥性肺炎でSpO2の低下があり、聴診すると水泡音が聞こえます。この場合はおそらく痰が詰まっているのではないかと考えます。他には、気管支喘息の既往歴があり、聴診すると汽笛音がします。SpO2の低下もみられます。この場合は喘息発作を起こしているのではないかと考えます。

次は、副雑音についてです。副雑音は4つに分類しますが、判断するポイントをお伝えします。

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まずは最初に、断続性か連続性で分けます。断続性とは途切れる音です(ぶつぶつ・ちりちりなど)一方で連続性とはある程度続く音です。(ぴ~~~~~・ぐーーーーーーなど)

途切れる音なのか、続く音なのかで2つに分けます。

次に途切れる音は、細かい音なのか(チリチリなど)粗い音なのか(ぶつぶつなど)で分けます。そうすれば答えが出しやすくなります。

連続する音の場合も同じように、音が高いのか、低いのかで分けます。ちなみに、連続する高い音(汽笛音)は最も分かりやすいです。喘息発作の時などで聴かれる音ですが、聴診器がなくても聞こえてくる場合もあります。

このように副雑音は最初に2つに分けて、その後も2つに分けて行くと答えが出しやすいです。

ただし、繰り返しますが、教科書的な音とは違ったよく分からない音が聴かれることもありますので、他の情報と組み合わせてアセスメントすることをお勧めします。

残ったフィジカルイグザミネーションは、触診と打診ですがあまり使用する頻度は少ないと思います。触診は人工呼吸器を装着している利用者に痰がある時、胸郭に手を当てると細かい振動が伝わってくる(これをラトリングといいます)時に使うことがありますが、聴診でも代替できます。

打診は、胸水があるかどうかを知る時に使うこともありますが、やや高度なテクニックです。

まとめ

呼吸のフィジカルアセスメントとフィジカルイグザミネーションについてお伝えしました。

特に覚えておいてほしいのは、呼吸様式やパターンの異常(努力呼吸や頻呼吸)です。

他のフィジカルアセスメントでも同じですが、複数の情報と組み合わてアセスメントすることが大切です。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

 

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