ストレス太りのメカニズム

ストレスで太ると言われていますが、これにはしっかりとした身体の変化に伴うメカニズムがあります。

なぜストレスが溜まると太るのか。


人間がストレスと感じるものは非常に多くあります。ストレスを感じさせる刺激となる原因をストレッサーと言います。

ストレッサーは非常に多くの種類があり、生きている限り毎日この刺激を受けています。ストレッサーには、物理的・社会的・心理情緒的・生理的の4種類によく分類されます。

例えば、暑い・寒い、うるさいなどは物理的なストレッサーです。人間関係などは社会的ストレッサーです。不安や怒りなどは心理情緒的なストレッサーです。痛い・苦しい疲労などは生理的なストレッサーです。

人間はこのようなストレッサーにさらされた時、体がこのストレッサーに対して防御する反応を起こします。

例えばプレッシャーを感じて緊張した時に、ドキドキと動悸がします。この場合は、緊張が心理的なストレッサーになります。

動悸を感じるのは、体が機能を高めるために自律神経(交感神経)を興奮させて血圧を上げているからです。


ストレスを感じると、なぜ体が興奮状態になるのか。これには人間のストレスに対する反応が、大昔の原始時代に備わったためであると本に書いてありました。

原始人の大きなストレスといえば、外敵に遭遇することがあります。狩りなどに行ったときに猛獣に遭遇するストレスです。

猛獣に遭遇した時、原始人は生き延びるために瞬時にその手段を考える必要があります。猛獣と闘って生き延びるのか、それとも逃げ延びるのかを瞬時に判断して、決行しなければなりません。

そのためには、脳の判断力や集中力を高めたり、闘ったり逃げるために運動機能を高める必要があります。これがストレスに対する反応として備わっています。

緊張した時に動悸がするのは、体が運動機能を高めるために交感神経を興奮させて血圧や心臓の動きを強くします。筋肉や全身の臓器に多くの血液を送ろうとするためです。

よい緊張は脳の働きを強めると言われていますが、緊張した時に集中力や判断力が高まるのはこのためです。例えば、テスト勉強の仕上げの最後の追い込みのような時です。

具体的には、ノルアドレナリンやアドレナリンという物質が体の中で分泌される事によって、脳や身体の機能が高まります。

究極の状態はいわゆる「火事場の馬鹿力」です。


もう一つの原始人の大きなストレスには、飢餓があります。食べるものがなく、飢え死にするかもしれないようなこれも生命に関わる大きなストレスです。

飢餓に対する体の反応は、どんどん体に脂肪を蓄えようとします。

寝不足の時に、いつもよりおなかが空いたり食欲が増すことがあります。これはストレスが睡眠によって解消されていないために起こります。


このように、人間がストレスを感じると、外敵に襲われた・食べ物がないからヤバイと脳が勘違いをおこしてしまうのです。

つまり、人間はストレッサーの種類を正しく認識できていないのです。

ストレスの反応は人間が生き延びるための進化の過程で備わった体の反応なので、すぐに変化することはないと言われています。

人間が大きな機能の進化を遂げるには、100万年必要といわれています。つまり、数千年で劇的に変化した近代社会特有のストレスに、体がまだまだ適応できていないのです。


ストレスで太る理由は、「食べ物がないから危険、飢え死にするかもしれないから、どんどん脂肪を増やして備えよう」と脳が勘違いすることが原因です。

ストレスを効果的に解消する方法の一つは睡眠です。

過去にも書きましたが、ダイエットの基本は睡眠です。睡眠でストレスが解消できていない状態でカロリーを減らしても、体はその少ないカロリーでも必死に脂肪にしてどんどん蓄えようとします。

寝不足の状態で、さらにダイエットするとカロリーを脂肪にして使わないので、体の代謝が落ちてしまって体が冷えたり、免疫力が低下して風邪などを引きやすくなります。

このようなダイエットは痩せない上に病気になる危険を伴います。ダイエットは睡眠を確保した上で行うのが体のメカニズムに合った方法です。

ストレスで太るのは、実はこのようなメカニズムがあります。

ダイエットに限らず睡眠は健康維持に絶対不可欠ですので、睡眠時間は必ず確保しましょう。

最後までお読みいただきありがとうございました☆