看護実践におけるアートとサイエンス
看護の評価はとても難しい
看護は難しいというのは、ある程度経験を積んだ看護師なら誰しも感じることではないでしょうか?
何故なら、看護に答えがないからです。
看護の成果はどこで評価すればよいのか?
看護を数値で表す、又は客観的に評価することは、非常に難しいです。
仕事の成果を、数値で表す業界は多いです。
例えば、売上・生産数・価格・顧客数・完成までの時間等を評価指標とします。
数値には、説得力があり比較も出来ますので、評価指標としては用いやすいと言えます。
一方、看護の評価指標は数値化するのは困難です。
看護の対象が人であり、個々それぞれの看護観があるからです。
患者満足度調査というものが、行われていますが、この結果だけで看護の評価を行うのは限界があります。
看護の評価を患者中心で見たとき、看護師が最新で根拠のある実践を行ったとしても、患者が不満に感じたり、効果を実感出来なかった時には、評価が落ちてしまいます。
相手が人である以上、いかに最新で根拠があることを行ったとしても、全ての患者が満足し、目指す効果が出る訳ではありません。
近年の経営など、ビジネスの世界では、アートとサイエンスが言われています。
意思決定等を行うときに、何に基づくべきなのか?という議論です。
サイエンスに基づく意思決定とは、情報の分析や、論理、推論などに基づく意思決定です。
フレームワーク等によるマーケティング戦略等がサイエンスによる意思決定の代表と言えます。
一方の、アートによる意思決定とは、美意識や倫理道徳、直感等に基づくものです。
ゴールがどうあるべきなのか?目指すべき姿は何か?楽しそう、ワクワクするなど、美意識や直感、感性等に基づく意思決定です。
日本はサイエンスを重視した意思決定を行う企業が多いと言われていますが、近年アートの側面も重視すべきと指摘する専門家がいます。
サイエンスとアートと言われると、サイエンス=科学の実験。アート=芸術や美術作品を思い浮かべる人がみえると思います。
ここでいう、サイエンスとアートとはもっと広い概念を指しています。
私は、サイエンスとアートは看護にも当てはまると考えます。
サイエンスは、根拠(いわゆるエビデンス)やフィジカルアセスメント、統計、バイタルサイン等のデータ等です。
アートは、美意識や倫理・道徳、直感等です。
近年の看護はサイエンスが重視されている気がします。
いわゆる、エビデンスの重視等です。
しかし、看護にはアートの側面もかなり大切だと思います。
アートと、サイエンスのバランスが大切だと感じます。
しかし、なんだか近年は特にエビデンス病みたいなものが流行っている気がします。
もちろん、根拠に基づく看護実践はとても大切ですが、アートを置き去りにしてはいけないと感じます。
なんとなく危なそうとか、急変しそうとか、看護師としてあるべき姿など、そういった倫理観や感覚的なものが本来重視されてきたと思います。
サイエンスとアートのバランスが大切で、色々な側面から物事を考える事が必要だと思います。
そして、もうひとつ大切なものとして、クラフト(技術)もあります。
看護は、知識と技術と心が大切=サイエンスとクラフトとアートという事でしょうか。
最近、このお話をセミナーでしてみたら、なかなか好評でした!
ちなみにこのサイエンスとアートとクラフトの経営理論は、ミンツバーグという人が過去に唱えているものです。
今回は、この理論を看護に転用してみました。
最後まで読んで頂きありがとうございました☆